令和6年度愛媛県地域おこし協力隊起業スクール(全5回)を実施しました

県内の過疎地域等での多様な地域協力活動に従事している地域おこし協力隊員は、今では130名を超え、地域力の維持・向上を図るための重要な存在であり、地域協力活動を通して培った経験や隊員自身の技術をもとに、任期終了後の進路として起業による地域内での定住を目指して多くの隊員が活動しています。

 このため、起業に向けた課題の解決や任期中のキャリア形成の促進を図り、隊員活動の充実と任期後の起業による定住・定着に繋げることを目的として、将来像の実現に向けた知識と技能の習得を支援し、地域での起業事例の紹介や起業に関する専門的な知識を提供する起業スクールを実施しました。

今治市での視察研修と棚卸ワーク(第1回目、2回目)

こりおり舎、しまなみ介護タクシー、大三島ブリュワリー、Co-Living&Café SANDOにて現地視察を行い、起業に至るまでの経緯や留意点などを学びました。

こりおり舎(本屋、自家焙煎珈琲、宿)を運営する千々木氏に営業形態や起業に至るまでのプロセスなどを学ぶ様子

GRABAKA(キックボクシングジム)と福祉タクシーの営業を営む兵頭氏のマルチワークにおけるメリットデメリットなどを学ぶ

10/22(第二回目)Co-Living&Café SANDOにて飲食店と宿の運営、クラウドファンディングへの取り組み方などを学んだのち、参加者自身の棚卸しワークを行い、起業に向けての自己分析をおこない意気込みについて発表しました。

「マルチワークにも大小があった。最近では働き方のひとつとして、多業を自然に受け入れていく環境にある。今回できた仲間の力も組み合わせて、新たな可能性を作っていきたい」と参加者の感想がありました。

ゲストハウス開業に向けての資金繰り(第3回目)

11月20日に内子町にて第三回目の起業スクールを実施しました。

協力隊任期中に古民家の改修工事と起業をスタートしたシーバースさんは、起業スクールの卒業生でもあります。当時の運営形態から変化した箇所や、ゲストハウスに必要な開業資金やコストについて学びました。後半は愛媛産業振興財団の玉井氏によりリーンキャンバスをつかったワークを実施と個別相談会を実施しました。

参加者からは「起業したいと頭では思っているが、研修に参加することで、お尻に火がついた感覚でいる。お金の計算が苦手なので、残りの学びで考えていきたい。」

講師シーバースさんからは、「何かしら皆さんに持って帰るものがあってよかった。地域のことをもっと知るというのが重要。移住してからその後、もういちど地元から学ぶことも多い。皆さんの好きなことが仕事にできればと思う。」との言葉をいただきました。

苦手意識のある資金繰りについて(第4回目)

第4回目は12月17日に松山市で開催しました。

伊予銀行地域創生部高村氏による講義の様子

講義前半では愛媛産業振興財団の玉井氏より、活用頻度の高い助成金の説明の紹介と活用にあたって、目的や対象に要件を満たしているかなどの審査観点をおさえてアイデアをまとめる必要があるという留意点を学びました。第二回目の講義で学んだリーンキャンバスを宿題にしていたため、アイデアをある程度、整理していた受講生が多く見受けられました。市場規模を数値化するために根拠となる統計データ(稼働率や利用回数、消費額など)を活用し、事業計画に落とし込むことで客観性がうまれる事を学びました。

受講生の多くは、コスト構造や収支計画を苦手意識が高いため、収支計画の構造にデータや原価率を落としこみ、係数観念を持った計画の作成につなげてもらいたいです。

後半の講義では、伊予銀行における創業支援の取り組み(セミナーや相談窓口など)の説明の後、融資について講義いただきました。愛媛県と協定している融資制度における創業特例や補償料率などの補助の説明がありました。融資を受ける際におけるポイントの中でも、ストーリーや背景のある将来の展望にも審査比重が高いという話は人情味があるなあと感じた部分です。

伊予銀行と提携しているクラウドファンディングの会社の比較や援金の受け取り方法の違いなどがあり、受講生の質問にもクラファンに関するものが多く、興味関心を伺えました。

講義終了後は、4グループに分かれて、リーンキャンバスをもとに内容の精査を行ないました。活気のある話し合いの場になりました。

発表プレゼンテーション(第5回目)

2月25日8分のプレゼンテーションと5分の質疑応答の発表大会を実施しました。

緊張しながらも事前に用意したプレゼン資料を基に発表する様子

参加者からは「最初は自分だけ勉強不足かとおもいながら参加したし、事業構想の未熟さを痛感した。スクールによって起業について意識ができたし、メンターや受講生と関係性の構築ができ、相談できやすさがあった。」

「経営コンサルと提携して受講していたが、コンサルとも違った視点で物事をとらえることができた。現実の厳しさを感じた。」「1年目は日々の業務に励んでいたが、新規のアイデアを口に出すことで見えるものも大きくあった。2年目も受講が可能であれば受けたい。担当地区には若者が少なく、話す機会がないため楽しかった。」

「これまでは日々の業務に忙殺されていて、卒業後のことを考えていなかった。初回はノープランで参加したものの、なぜか焦ることができなかった。しかし、同じように計画のなかった受講生が次々と事業を計画している様子をみて焦りを感じ、がんばった。計画案は初期投資もかかるので協力者を見つける必要がある。」などの感想があがりました。

まとめ

複数回にわたり実施したことで、事業計画書の書き方やビジネスの基本的な考え方などの学びを通して、受講生に仲間意識が芽生えている様子がよく伺えました。仲間で切磋琢磨したからこそ内容の良いプレゼンテーション発表となったように思います。講師として参加していただいた玉井氏からも、過去の起業スクールの発表の中で1番クオリティが高かったと賞賛の声をいただき歓声があがりました。起業スクールで築いたネットワークを維持し、モチベーションを持続してもらいたいです。