「あでカワ」ができるまで

みなさん、こんにちは!松野町のヤザマです!

わが家の桃畑。葉もだんだんと落ちてきて季節の移ろいを感じます。

早いもでわたしが愛媛に移住してから5年半。内子町で3年8か月、結婚してからの松野町での暮らしももうすぐ2年になろうとしています。

きょうは初心に戻って、内子町で地域おこし協力隊時代に立ち上げた「内子あでカワプロジェクト」について話をしたいと思います!

「内子あでカワプロジェクト」を立ち上げるまで

わたしは観光振興をミッションとした地域おこし協力隊として、内子町に移住しました。

内子町の中心部には江戸末期から続いている伝統的な町並みがあり、国内外からたくさんの観光客が訪れています。わたしもその美しさに魅了されたひとりで、内子町へ移住するきっかけにもなりました。

国の指定を受ける伝統的建造物群保存地区

観光振興ミッションの協力隊として応募を決めたとき、「自分はここで何ができるだろう?」と考えました。そこで思いついたのは「着物のまち歩き体験」。 1次審査で提出した小論文に 「美容師時代に身につけた着付けのスキルを活かして、観光客に着物を着て町並みを楽しんでもらいたい」と書きました。

晴れて試験に合格し、実際に内子で活動スタート!構想はあるものの、肝心な着物や体験場所、いっしょに着付けをしてくれる仲間もいない…。考えていることをカタチにできないもどかしさや不甲斐なさに落ち込む毎日でした。

しかし、落ちるとこまで落ちたら、あとは上がるだけ!w イイ意味で開き直ったわたしは状況を打破するべく、まずは「やりたいことを口に出して言ってみる」ということをし始めました。今までのわたしは「やるって言ってできなかったらカッコ悪いよな~」と思ってためらっていましたが、これなら時間もお金もかけずにすぐできる!wそして、「言ったからにはやらなきゃ!」という気持ちにもなります!

そう決めた次の日から勇気を出して「着物のまち歩き体験を立ち上げたいんです!」と会った人に言ってみると、「あったらいいと思ってたんよ!」、「町並みには着物が似合うよね!」と賛同してくれる人がたくさんいたのです!しかも、「〇〇さん、着物たくさん持っとるよ!」、「あそこの場所が空いとるんやない?」、「 〇〇さん、着付けできるよ! 」と、プロジェクトに必要なヒントを思いがけずもらうこともできました。

そのヒントをもとに行動した結果、町内の方から着物を寄付していただいたり、町並みの通りにあるおみやげ屋の2階を体験場所として使わせてもらえることに!そして、いろんな人に会うことで人脈も広がって、いっしょに着付けをしてくれるという仲間もでき始めました。

また、ちょうどそのタイミングで愛媛県が主催する体験型イベントが開催されるという追い風も!地域資源を利用した観光体験プログラムの1つとして内子の着物まち歩き体験がついにスタートを切ることになったのです!

このときプログラム名を決めることになり、わたしがない頭を悩ませて悩ませて絞り出したのが「あでカワ」という言葉!「艶(あで)やか」と「カワイイ」という2つの言葉をくっつけた造語で、若い女性にも気軽に着物を楽しんでほしいという気持ちを込めてつけました。

はじめは耳慣れない言葉によく驚かれましたが、始めるうちに着付け体験を「あでカワ」とみんなが呼んでくれるほど親しまれる言葉になって、今となっては思い切ったネーミングにしてよかったなぁと思っています。

そのときのチラシ。モデルは自分で!w

いよいよプロジェクト始動!

準備期間約半年を経て2016年5月、いよいよ「内子あでカワプロジェクト」をスタート!

始めるまでは「お客さん来るかな…?」という不安な気持ちでいっぱいでしたが、ありがたいことにその心配も杞憂に終わり、若い女性が全国各地から内子を訪れ、町並みにあでやかでカワイイ風景を作り出してくれたのです! 「次はあの着物を着てみたい!」と言ってリピートされる方もたくさんいました。(なんと最多は5回!)

「着物を着たい!」というお客さまは国内にとどまらず、世界各国からも!日本がインバウンドに力を入れ始め、愛媛県でも海外観光客が増えてきたこともあり、「日本らしい風景を着物で楽しみたい!」という海外からのお客さまもたくさん来てくれました。

そして、「あでカワ」のようすを見て、「いっしょにやろう!」とコラボレーションしてくれる人たちも現れます!

体験場所を貸してくれていた「内子手しごとの会」のワークショップ「手仕事体験」。これを着物を着ながら体験できるようになり、お客さまの満足度も高まりました。

また、地元のおばあちゃんたちが着物に似合う髪飾りを作ってくれて、体験者に販売することになるとたちまち大人気に!

作っている現場に髪飾りをつけた着物姿を見せに行ってくれるお客さまもいて、おばあちゃんたちのヤル気につながったようで張り切って作ってくれました。

わたしも髪飾り作りのお手伝いに!

協力隊2年目から任期終了までの約2年間で体験者数はのべ500名以上を超えました。体験者の笑顔はもちろんですが、町の人たちが「着物姿の人がいると町並みが華やぐね!」、「思い出の着物がまた活用されて嬉しい!」と喜んでくれたことが本当に嬉しかったです!

そして、わたしが内子を離れたあとの「あでカワ」はというと…。ありがたいことに現在も町のみなさんのご協力のもと、内子の観光ツールの1つとして継続されています!できる限り続いていったら嬉しいなぁと思っています。

町のみなさんのおかげで叶った夢

移住前、自分が頭の中で思い描いていた夢がどんどんカタチになって、自分がしたことで喜んでくれる人がたくさんいる。 「内子あでカワプロジェクト」での成功体験は、わたしに大きな自信を与えてくれました。

これも見知らぬ土地に来て何にもわからないわたしに協力し、応援してくれた内子のみなさんのおかげです!ツライ時も「町のみなさんに恩返ししたい!」という気持ちで頑張ることができました。本当に感謝しています!

移住をお考えのみなさんも知らない場所へ行くことはとても勇気がいることですが、人のありがたみるかに気付けたり、今までできなかった経験ができるかもしれません(^^)