今治市 地域おこし協力隊 森山数也さん

今治市は、愛媛県の北東部・瀬戸内海のほぼ中央部に位置する、松山市に次ぐ県下第二の都市です。
瀬戸内海の風光明媚な景観と、大山祇神社や村上海賊の史跡などの歴史遺産を誇る観光都市であり、近年はサイクリストの聖地として国内外から多くのサイクリストが訪れています。また、国内における建造集積数は約2割を占め、日本の海運企業が所有する外航船の約4割を今治の船主が占めるなど、日本一の海事都市でもあります。
今治市で2024年から移住コーディネーターとして活動する森山数也さんは、ご家族の縁で今治へ移住。移住を経験したからこそ「できること」、そして移住を機に取り組み始めた「やりたいこと」に向き合ってきたこれまでと、これからのことを伺いました。

家族のタイミングが重なり、移住を”やりたいことをやる”きっかけに
Q.今治市の地域おこし協力隊になった経緯を教えてください。
福岡県出身で北九州市で暮らしていましたが、妻の実家が今治にあり、平成17年の合併前から今治には何度も来ていて地理などは知っていました。
妻の実家が今治で商売や農家をやっていることもあり、いつか継いでほしいと言われていたことと、娘が高校に上がるタイミングだったことなどが重なり、いいタイミングかもしれないと移住を決めました。せっかく移住して仕事を変えるなら、やりたいことをやってみようと考えたとき、地域おこし協力隊という制度を知りました。元々、魚が好きだったので、カワハギのブランディングができたらいいなと思って応募しました。



移住者だからできる、移住のサポート
Q.地域おこし協力隊としての活動はどんなことをされていますか。
移住コーディネーターと空き家バンクのサポートを主に行っています。同期でもう一人、同じミッションで活動している隊員がいるので、一緒に活動したり、分担したりしています。今、着任2年目で1年と少し活動していますが、その中で年間10回以上開催される東京や大阪の移住フェアに参加して、移住相談の対応をしています。移住フェアでは多くの方が相談にいらっしゃいますが、メリットだけでなくデメリットもお話できるのが、移住してきた私たちだからこその強みかなと感じています。海や島の身近さといった普段の暮らしの様子をお話しするだけで、都会の方にとっては非日常的な憧れの暮らしでもありますし、交通の面など不便を感じている面も正直にお伝えすることもできます。
市の窓口でも相談を受けているので、電話やメールで相談にお応えしたり、お試し移住などの助成金の対応、移住者(転入者)アンケートの集計、「いまばり暮らし」というホームページの更新なども行っています。移住相談で対応した人が、今治市に移住を決められたこともあります。
そのほかにも、移住相談にあたっていろいろな経験をしておく方がよいということで、島しょ部のB&G海洋センターの活動などにも取り組んでいます。
Q.活動以外で地域との関わりはありますか。
移住してすぐから、中村獅子保存会に所属し継獅子の活動をしています。春祭りの時期にはあちこちから声がかかるので大忙しです。毎晩のように練習があるなど大変さもありますが、みなさんいい方ばかりで、とても楽しいです。継ぎ獅子とは大人数段の上に小さな子どもが立ち踊る神事ですが、最初は大人の上に立つことが出来かった子供が練習を重ね、出来るようになるなどの成長を間近で見られる嬉しさもありますね。
最初に継獅子の会に誘ってくれた人が市役所の人だったり、息子の通う小学校のPTAなどで関わるのが今のミッションを用意してくれた職員さんだったりします。職員としてというよりは地域の住民同士として関わりがあるという感じです。
今治の人は、受け入れてくれて仲間になるとすごく面倒見よく仲良くしてくれますよね。それがとてもありがたく、うれしく思っています。


今治が目的地になる仕掛けとしての”バリハギ”
Q.今後、活動や任期後に取り組んでいきたいことはありますか。
当初からやりたかった魚のブランディングを進めていきたいと思っています。カワハギを「バリハギ」としてブランディングしたいと考え、すでに取り組み始めています。カワハギは、夏は身、冬は肝が旬の魚なんですが、養殖と天然魚を併用することで、一年中おいしい身と肝が食べられるようにしたいと思っています。
今治は観光地や移住先として人気ではありますが、目指してきてもらえる「食」の仕掛けがまだ足りないという印象です。観光の一環でバリハギを食べに来てもらうことを目指したい。だから、たくさん養殖して出荷するというよりは、今治をカワハギを食べに来る目的地にしてもらう、というのが理想です。
私は養殖自体ではなくブランディングがしたいので、一次産業の方や販売業者の方と良い関係を築きながら進めていきたいと思い、今は関係づくりと養殖場探し、資格取得を進めています。まだまだ課題もあり長いスパンで取り組んでいくことではありますが、元々やりたかったことなので楽しみながらやっています。

