耕作地とおばあちゃん

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先日、足を怪我したおばちゃんが、けがをしているにもかかわらず、農作業をしている姿を見て耕作地について少し考えてみた。

膝を怪我しているのに農作業

私が約6年前に内子の中山間地小田地区に配属されたときに、各世帯に訪問したのですが、その際に畑をしているおじいちゃんおばあちゃんがたくさんいたので、いろいろ聞いてみた。もともと野菜を育てるのが好き、農作業が好きでやっているもんだと思っていたのですが、実際に聞いてみると、『ボケ防止』『だいだい受け継がれてきた土地だから荒れ地にはできない』『景色を保つため』とどちらかというとネガティブな理由が多かった。できることなら誰かにやってほしいという人も。

内子に移住した時に『おもいでぽろぽろ』みたときに、「田舎の景色は自然と人間が作り出した景色なんですよ~」ってぎばちゃんが声優だったと思いますが(笑)、そのセリフに深く頷いた記憶があります。田舎道の清掃も地域の人たちがやっていることも多いし、おじちゃんおばちゃんたちが自分とこの畑をきれいに作っているからこその素敵な景色。これが全部耕作放棄地だったらと恐ろしくなります。

中山間地というのは丘陵地も多くなかなか開墾するのも大変だし、平野部が少なく敷地が狭い分、機械を入れたとしても大量生産することもできない。棚田がいい例で、あの一つ一つ時間かけて畦道を整備し機械を入れてはまた次の一枚へ移動していく手間暇。新潟のような平野部だったら同じ時間で何倍もの面積を耕せるのである。そういう立地のため、そもそも専業農家として商売でやっている人はかなり少ない。なので、ほとんどの耕作地は、みな家で食べる、親せきに配るとかが主です。作物を育てるのは草刈りも大変だし、高齢になればなるほど体力的にもしんどくなっていく。

内子町にある泉谷の棚田

その中でモチベーションになることってなんだろうか?

最近では道の駅などの直売所ができたことは大きいのではないか。自分たちの作ったものが誰かに喜んでもらえる、小遣い稼ぎになる。そういったことが畑をするためのモチベーションにつながっていることも多いのではないかと思います。

内子の上田渡(旧小田町)という地域にも『およりんか』という市があります。土曜日限定ではありますが地域の人たちが、自分たちで育てた野菜が余ってしまうことが多いので、それを余すことなく誰かに届けたいということでできたと記憶しております。自分の作ったものが誰かに届き喜んでもらえることは、作る人のモチベーションになっていて、もともと余ったものを出すはずだったのに、市に出すことが目的となり、質の良い野菜は市に、そこで余ったものを自分たちで処理するようになった。そんな話を聞いてとてもほっこりしたのを覚えています。

これからも人口の減少、高齢化に伴い耕作放棄地も増えていきますが、そもそもの畑をしていくモチベーションづくりというものをしていく必要はあるのだと思います。

田舎に移住してくる人の多くは、畑を持ち時給率を上げていくことも一つの目的だったりします。そもそも興味があったりする人にうまくつないであげることも大事だったり、また作ることが楽しいと思える環境づくりは大事なのだな~と思います。

冒頭でのおばあちゃんも、『きれいな景色を保つため』という使命感が人一倍強くやっていますが、人と交流することも好きな人なので、畑をやることで誰かと交流できたり、作ったものを通じてだれかとコミュニケーションがとれたり、そんな状況づくりをなにか協力できたらなと思います。

おばちゃんたちとお茶畑をシェアしてます(たまに注意されながら笑)

耕作放棄地も社会問題になっていて、全国各地でどう解決していくか様々な取り組みがあります。まずは自分たちが楽しむことも大事ですが、ネガティブな理由でやっている人たちがポジティブな理由に切り替えられるようなことを合わせて考えていけたらなと思いました。