松野町地域おこし協力隊 井上 暁博さん
愛媛県で活動している現役地域おこし協力隊による、活動紹介ブログ、今回は松野町で桃再生事業に取り組む井上暁博さんです。
国定公園「滑床渓谷」や山城「河後森城跡」を有する、森の国松野。人口3800人の愛媛で1番小さな町。
ミッションは桃再生事業。中年元料理人が農業に挑戦。
理想と現実?
飲食業に長年携わり、独立開業した店が立ち退きになりました。今後の展開を思案中、縁あって高知県の中山間地域で農業バイトを経験し、生活スタイルや住環境、自然を感じられる畑仕事が心地良く感じ、「過疎化が進む田舎の農業の人手不足にも微力ながら役に立つのでは?そして【食】にも関われる!」ということで農業への進路変更を決意しました。
何となく四国の中山間地域で農業を探し始めましたが、何を作りたいのかは定まらず、農業法人就職、新規就農、百姓、ファーマー等、妄想だけが膨らんでいきました。農業法人や個人農家さん、農業学校など、サイトを検索していたら…、 圃場で笑顔のカップルの写真に「桃源郷あります。松野町」という文字を発見。
どういうことだろう? 桃? 愛媛県で? 協力隊?
何か面白そう…と調べてみたら募集締め切りまで1週間。とりあえず応募し、あとは流れに身をまかせることに。
松山ー宇和島ー松丸駅へと汽車に揺られて着いたところは、思っていた以上にど田舎! 「えらいとこに来てもうたなぁ…」と心で思いつつも、何が待っているのかと心を躍らせ少しにやけ顔になっていました。
さてと、何が待っているのか?
理想と現実の狭間で。。。
松野町 地域おこし協力隊 農業班のミッションは、宗家 源吉兆庵へ卸す加工用桃の栽培、管理と柚子とすだち、栗の栽培、管理です。現在、園地は町内に3ヶ所。それぞれ車で6~7分圏内にあり、1園地3~4反ほどの広さに、苗木や幼木、成木が混栽しています。卒業後は、どれかの園地を選び引き継いで管理していきます。
桃の場合、5~7月の袋掛けと収穫が作業のピークで、栗は9月、柚子は11月とピークは異なります。これら以外の時期は、剪定や防除、施肥が数回ある程度。農作業で収穫の次に大変なのが草刈りです。刈り払い機(よく見る草刈り機)と自走式草刈り機(芝刈り機の大きい物)を使い、1園地で年間4.5回作業をしています。
松野町には、昔ほどではないが加工用桃以外にも生食用の桃農家さんもおられ、収穫時期には桃の選果場が甘い匂いに包まれます。しかし、園主も桃の木も老齢化が進みつつあります。
農業ミッションは、活動内容が圃場内作業なので、受動的だと地域住民との関わりがほぼありません。コロナ禍で町内農業従事者との交流の場もなく、居住区域の住民と掃除等で顔を合わせる程度。町内のイベントや祭りも中止が続き、なかなか交流機会が得ることができません。面倒事は少ないですが知人友人、味方も増えず、課題と感じています。
中山間地域は単独、小規模、兼業、農家が多数を占め、JAに頼らざるを得ず、老齢化(現状維持意識高)も相まって、問題解決の意識や行動力が低いように見受けられます。
どこまでやれるか? やるしかない!
協力隊任期中に、自然栽培法の習得や、各作業の改善、効率化とそれに向けた圃場整備、協力隊卒業後の引き継いだ園地以外からの収入源準備・確保、狩猟免許取得、養蜂技術習得を目指します。
また、農業研修として園芸に携わっており、技術を活かした仕事作りや、栽培品種の新たな需要掘り起こしも目指します。その他、耕作放棄地や水田転換畑の利活用も思案中です。
今後再開される地域行事や新たなイベントに参画し、地域おこし的なことにも加わっていきます。地域の就農者と繋がりを深め、仲間を増やし、農業従事者のチーム作りや法人、組合化を目論んでいます。これらを以て、今後町の就農者、協力隊や住民が少しでも増えてくれればと思っています。
仕事以外には、鰻や鮎、蟹取り、SUPもできるし、足を伸ばして釣りや山登りも楽しめる。動物をたくさん飼って、ツリーハウスもいいかも。と 妄想を膨らませています。。。
松野町HP:https://www.town.matsuno.ehime.jp/ 松野町地域おこし協力隊Facebook:https://www.facebook.com/ehime.matsuno.30/