直感でここな気がした山、決め手は土の香り。

伊予市中山地区地域おこし協力隊 橋本 由巳子さん

 愛媛県の中央部に位置し、緑豊かな山間部にある伊予市中山地区は、自然豊かな住環境がありながら、国道56号線が南北に延び、併走するように松山自動車道が通っており、交通アクセスも良い地区。この中山地区には、平成30年にオープンしたばかりの「道の駅なかやま」があり、 地域で採れた新鮮な野菜や銘菓のまんじゅう、こだわりの卵で作ったプリンなどの特産品を数多く取り揃えているだけでなく、木工体験、そば打ち体験などここにしかない魅力が溢れる人気のスポットだ。

 今年の5月に伊予市中山地区に着任した橋本さん。

 地域おこし協力隊としてのミッションは「道の駅なかやま」を中心とした交流人口の増加と地域の活性化だ。着任から半年が経過した橋本さんに、これまでに感じたことや今後の活動について話を聞いた。

ここを選んだのは簡単にいうと「直感」

 大好きだった祖母との思い出が詰まっている愛媛県が好きで、いずれは住んでみたいと思っていた。

 それが「いずれ」から「今」になったきっかけが、移住フェアで相談したえひめ暮らしネットワークのメンバーから提案された地域おこし協力隊だったという。

 ひとまず現地へ行ってみようと体験で訪れた日はあいにくの雨模様。しかしそれが逆に良かったのかもしれない。案内された車から降りた瞬間に広がったのは、いまでは日常の一部になっている土の香りだった。 コンクリートに囲まれた街ではない、土に囲まれた里山。

 これはもはや運命なのではないだろうか。彼女は一瞬で中山の虜になった。

住むところを決め、それから仕事を決める

 当初はどこかの企業に就職するつもりだったが、伊予市中山地区の地域おこし協力隊に応募し採用された。与えられたミッションは数年前にできた「道の駅なかやま」の交流人口の増加と地域の活性化。道の駅を拠点にしている地域おこし協力隊は多いが、それぞれ関わり方は違う。運営にしっかり関わっていたり、間借りした自分のスペースを活用したり、別の場所で作った特産品を並べてみたり。

 橋本さんの場合は地域住人ではなかなか見つけられないことを指摘し提案をすることだった。

 中山の名産品はそばだ。もちろん道の駅でもそれを軸にいろいろな特産品を展開している。旬の時期に旬の特産品を売れば当然人は集まってくるが、地域おこし協力隊として求められていることはそれ以外の時期に人を集めることだ。

 道の駅なかやまは国道56号線沿いにあり、南予から松山空港へ向かう人や、大型トラックのルートになっている。さらに高速道路のスマートICもすぐ近くに開設したばかりだ。わざわざ遠くから人を呼び込まなくても、近くを通過する人に立ち寄ってもらえばいい。様々なアイディアを思いつくまでにはそう時間はかからなかった。

地域外から人を呼ぶよりも、まずは地域の人が毎日来られる場所へ

 大型スーパーがあれば売っているものを見ながら何を買うかを決めることができる。しかし、中山地域は商店そのものが少ないため、例えば何を買うかを決めずに買い物へ行くことが難しいという。

 道の駅を「地域の人がとりあえず行くお店」にはできないだろうか。「いつ行っても何かあるお店」にはできないだろうか。なにがあればできるのか。何が問題でできないのか。そもそも道の駅と住民との間に考えの隔たりはないだろうか。

 幸い、地域おこし協力隊には自治体を超えた横のつながりもある。他の自治体はどうしているのか。直接見に行ってみよう。着任してまだ1年も経っていない。いろいろなところで知識を吸収している最中だ。

 道の駅を舞台にした彼女の活動はまだ始まったばかり。

 もうすぐ中山で過ごす最初の冬がやってくる。明日の天気はどうだろうか。天気予報を確認するのではなく空を見上げるようになった。

 近所の人は何もないというが、変わりゆく季節を眺めながらそんなことないじゃないかと思っている。

伊予市HP 地域おこし協力隊:https://www.city.iyo.lg.jp/soumukikaku/machizukuri/chiikiokoshi/index.html
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道の駅なかやまHP:https://www.michinoekinakayama.com