助け合いの町で私も助け合いたい。

松野町地域おこし協力隊 松本 綾乃さん

 愛媛県で一番人口が少ない町、松野町。人口約3,700人で、愛媛県と高知県の県境に位置する町です。

 また、森林が全面積の80%以上を占めていることから、「森の国」とも呼ばれています。 その森の国に2021年に地域おこし協力隊として移住してきたのが兵庫県出身の私です。 主に道の駅で活動しています。

自分に合う町

 就職と共に憧れの東京に上京しましたが、仕事がしっくりこなかったり、人間関係で落ち込む毎日。人がたくさんいる都会で周りは全く自分に関心がなく、反対に自分も周りに関心がない。こんなことを考えていると、「悲しいな~」「もっと人と人が近い場所に行きたい」と思うようになりました。転職を考えている時に先輩の旦那さんが協力隊だったことから、地域おこし協力隊という存在を知りました。

 それから移住促進サイトで行きたい場所を調べる日々。園地の中でキリッとしたまなざしでこちらを見ている素敵なご夫婦の写真が印象的で、松野町の移住相談会に参加することにしました。そこで協力隊担当が私に言ってくれた言葉がありました。

「松野町じゃなくてもいい。自分に合った町を選びなさい。」

その言葉は 「あなたの気持ちが一番大切」と声を掛けていただいたようで、うれしかったのを覚えています。 会社で働く上で、自分がどう思うかより、業務優先で目の前の仕事や数字をこなしていかなければいけなかった私には光が射した言葉でした。この時私は松野町にしようと決意しました。

頭の中を相手に伝えること

 現在は松野町の道の駅「虹の森公園まつの」に関わらせていただいています。 道の駅はその町の色や人やものがみえる場所です。観光客に満足してもらうのはもちろんですが、その前に私が大事にしたいのは町民の皆さんです。町の人から愛される道の駅であってほしいと考えます。松野町に来て、自分のことを話す機会がとても増えました。自分がやってきたこと、自分の考えること、自分がやりたいこと。今までは「こんな感じ」と雰囲気でしか説明できなかった私ですが、「誰かにこの想いを聞いてほしい。その前に自分のなかでも整理しよう。」と考えなおし、自然と自分の想いが言語化できるようになってきました。

 小さな町だから1人でできることがたくさんあります。反対に小さな町だからこそたくさんの協力がないと実現できないこともあります。そんなときに自分の理想や想いを言葉で伝えることで形になります。

 会社の一人としてではなく、『松本綾乃隊員の企画』として扱われることで、自分の言葉や行動に責任を持つようになりました。その分少し臆病になった気もしますが…笑

正解のない今後

 任期は残り一年半と少し。

 任期後のことは、毎日のように私の頭のなかでぐるぐるしています。「協力隊を卒業した後もまちづくりに関わる仕事を続けていきたい。」という想いから、就職をして松野町に定住する予定です。ただ、このまま就職して、結婚して(できるかわかりませんが)…と考えるとまた頭の中で違う気持ちがぐるぐる回り始めます。「まだ違う場所に行ってみたいな~」とか「海外にしばらく行きたいな~」とか「結婚は早くしたいな~」とか…。やりたいことや行きたいことをあげたらきりがないし、正直まだ自分の中で答えが見つかっていません。でも、ここの暮らしはすごく好きで、人と人との距離がとても近く、みんな助け合って気にかけあって、時には近すぎることもあったりして。そんなところもとても気に入っています。これからどうなるかわかりませんが、後悔のないよう進んでいきたいと思っています。