ブログを書きかけのまま放置してしまい、ずいぶん前の話になってしまったのですが、昨年末にオンライン配信で視聴した対談がとても興味深かったので共有します。
それは、自遊人チャンネルという、雑誌「自遊人」や宿「里山十帖」を運営する里山十帖の岩佐十良さんが全国各地で地域の中でさまざまな場づくりや取組みを行っている人たちとの対談をしているシリーズです。この回の対談相手は、調布を中心にカフェの運営やイベントの企画運営を行っている手紙社の北島勲さん。
手紙社のスゴさ。
手紙社のイベントには栃木県在住時代に遊びに行ったり、アルバイトしていたお店で出店したりしたことがあるのですが、まさに「非日常」のすてきな世界観が魅力です。
出店しているお店もすてきなお店ばかりですが、大きなお店や有名なお店だけでなく、小さなお店や個人の作家さんなど、知る人ぞ知る、といった感じの作り手さんがたくさん。出店の公募はしていないことや、イベントに参加するお客さんから入場料を取る、というスタイルなど、イベントとしても特殊ともいえる取り組みをしていることもあり、注目していました。
足元にも及びませんが、わたしが地域おこし協力隊の頃に大島で開催した「ばらとマルシェ」には、手紙社のイベントの影響を受けている部分があります。
この対談では、「編集力」がテーマとなっていますが、この対談から学べることは、大きく分けて二つ、あると思いました。
それは、次の二つ。
①イベントやメディア、店舗を運営するときに参考になる考え方
②目的と手段を明確にし、状況に応じて変化する力
編集はだれかをハッピーにする手段。
まずは、イベントやメディア、店舗を運営するときに参考になる考え方について。
元々雑誌の仕事をしていた北島さん。北島さんにとっての編集とは、「お客さん」と「作り手」の間に入る仕事。自分たちが間に入ることで、その両側にいる双方をハッピーにしたい、という思いがあるそう。
「編集」「翻訳」「加工」その仕方によって、同じことをやっても手紙社ならではのものになる。
手紙社はイベントだけでなく、カフェや本屋の運営も行っていますが(こりおり舎でもかなりリスペクトしていて、影響をもろに受けています)、お店やイベント、ひいてはその中で扱うものを「メディア」として、「編集」することで、関わる人をハッピーにしたり、より魅力を伝えたり、しています。
手紙社のイベントはメディアであり、コンテンツ。だからこそ、イベントの中で何かを買うときだけでなく、イベントそのものにお金を払ってもらうことができるのです。イベントの出店者集めは公募ではなく、スタッフが声掛けをして集めているそうですが、これはまさに編集。雑誌の特集にも似ていますね。常に新しいものを探し、組み合わせや配置を考え、会場の中にちりばめていくことで、手紙社のイベントは形作られていきます。
また、イベントに出店してもらう、させてもらう、してあげる、というどちらかに主導権がある関係性ではなく、対等の立場で一緒に繰り上げるのだそう。とくに非日常的な世界観づくり、ディスプレイには、出店者の協力が必要不可欠です。
イベントではレイアウトはないがしろにされがちだけれど、とても重要だ、と北島さんは言います。ブースの並び方は直線で均一の所が多いですが、手紙社のイベントでは、曲線をつくり、その先になにがあるだろう、というわくわく、見えた時の感動を演出しているのだそう。たしかに、なかなか全部を見切れない、回っても回っても発見がある構造をしていたなと思います。
オンラインとオフライン
つぎに、目的と手段を明確にし、状況に応じて変化する力について。
コロナ禍でイベント運営が難しくなった昨年、驚くべきスピードでオンラインでの取り組みに切り替えを行った手紙社。
オンライン紙博、オンライン布博などのイベントを次々に成功させています。
これも、スタッフがオフラインのイベント屋ではなく、コンテンツやメディアを作るという意識を持っていたこと、入場料をとりつつ世界観を構築することでファンづくりを行っていたことなどが大きなキーになったのではないかと思います。
コロナ禍に陥って1年となる近頃では、オンラインでのイベントや配信が当たり前になりつつありますが、昨年の今頃~夏前で切り替えができたところは多くないのではないでしょうか。
目的と手段
そんな中、全国でもいち早く移住フェアをオンラインに切り替えた愛媛県。それも、目指していたのが「移住フェアを都会で開催するコト」ではなく、「愛媛へ移住したい人に必要な情報を届け市町とつなぐこと」だったからではないかと思います。
一所懸命やっていると、ついつい手段が目的になりがちです。地域おこし、地方創生、移住促進、どれも手段です。それらの手段を用いて、成し遂げたいのは何なのか。大変な時こそ、立ち止まり、振り返り、考えられるとすべきことが見えてくるのかもしれません。
明日から新年度。目的の見直しをするには良い機会かもしれません。
立上げから走り続けてきた「えひめ暮らしネットワーク」。新年度、目標・目的の設定をして、前向きに進んでいきますので、引き続きよろしくお願いいたします!