いいものを共有して、いいものが続く里山の暮らし

内子町地域おこし協力隊 小山田麻衣さん

愛媛県内で活動する地域おこし協力隊を紹介する連載、今回はインタビューではなく協力隊ご本人による記事となっています。

それでは、どうぞ!

 みなさんこんにちは!愛媛県内子町で地域おこし協力隊をしている小山田麻衣です。
 美しい古民家と里山の暮らしが残る内子町に人を呼ぶために、地域資源の発掘やイベント企画を行っています。プライベートでは織物や糸紡ぎ、綿花栽培など、ものづくりのある暮らしを実践しています。田舎に住むとは夢にも思っていなかった私が、どれほど田舎暮らしを満喫しているかお伝えします。

和紙と里山をめぐる旅、「そしてこれから和紙編」にてみそぎの田んぼで朝ごはんを食べているところ

移住したきっかけ

 東京でやっていた店を閉じて、「オンラインで仕事が出来るようになりたい」と東南アジアの国々に9か月住みました。帰国してからフットワーク軽く日本と海外を行き来したいなと思い、移住地をインターネットで探しました。ある写真をみて「ここはバリ島みたいだな」と思い惹かれたのが内子町でした。

 東南アジアの暮らしの中で、涼しい夕暮れにベランダに出て、風を感じる時間の気持ちよさを知っていましたが、こういう暮らしが日本にもあったんだと驚いた一枚でした。

 それまで田舎に暮らしたいと思ったことはありませんでしたが、せわしない都会生活の中で無意識にゆったりとした時間の流れや、自然の音・匂い・風を求めていたのだと思います。

 初めて内子町に来たのは、地域おこし協力隊の面接でした。役場の方に町を案内していただき、一番感動したのが「川ってこんなに綺麗なんだ」ということです。私にとっては見たこともない透明で清々しい川でした。こんな綺麗な川を、家から一歩外に出るだけで見れるなんてすごいなと感じました。

 もう一つ印象に残っているのが「人」です。町を廻る中で住民の方々のお話を聞く機会があり、誰もが町のことを「自分ごと」として捉えて考え、行動されているのが印象的でした。すでに協力隊のOB・OGがいることや、先輩移住者がいることも心強かったです。

2021/7/11に小田支所前の原っぱで行った「そとで、ここで第4回」の様子

魅力を見つけて伝え合う

 東京で生まれ育ち、両親の実家も関東圏内だった私にとって、内子町での毎日はまるで海外に居るかの様です。日々移り変わる景色や、おすそ分け文化、車生活など、新しいことばかりで毎日ワクワクしながら暮らしています。

 地元の方には「何にもない所によく来たねー」と言われますが、至る所に花が咲いているし、野菜は美味しいし、星はきれいだし、私からしてみると資源とコンテンツの宝庫です。だからこそ暮らしながら地域資源を見つけ、磨いてイベントや体験として届ける活動をしています。

 その中で生まれたイベントが『そとで、ここで』です。東南アジアの暮らしを思い出して、外に身を置いてボーっとする時間。普段ボーっとする時間がとれない人でもイベントだから気軽に参加して、外でご飯を食べたり、モノづくりをしたり、外での過ごし方が再発見できます。

 町外の方には、イベントに足を運んでもらって、内子の魅力を知っていただきたいなと考えています。また地元の方には、町外の方が内子で楽しい時間を過ごし、満足して帰る姿に触れ、地元の良さを感じていただければと思います。

 いいものを共有して、いいものが続く、そんな暮らしを目指していきたいです。

小田深山にある千年の森公園にサイクリングロードを作りたいと、有志で集まって整備した時の様子

自然と人とのバランス

 移住してから「里山の風景ってなんで美しいと感じるのだろう」と考えていました。ある時気がついたのは、「人と自然が共存している姿」だから美しいのだということです。里山の暮らしは都会では想像ができないくらいとても豊かです。
 でも、この豊かさは自然を放っておいて出来たものではなく、そこに住む人が残すところ・手を入れるところのバランスを考えながら保ってきたものです。

 「そとで、ここで」は今後も里山暮らしの魅力を伝えるために、住人の方々のインタビュー記事や動画、オリジナル商品開発など事業展開していく予定です。でも、最も大切なのは里山とのバランスを考えながら、ほどよい規模で続けるていくことだと思っています。

 同時に内子の資源を活用したものづくりも続けていきたいと思っています。現在は地元で採れる草花を使った草木染めや、内子で飼われている羊の毛糸づくり、綿花栽培を行っています。これらを本当の意味で「里山の風景」としてかたちづくることができれば、微力ながらこの豊かさを次の世代に伝えていけるのではと考えています。

 地域の課題はたくさんあって、長く住んでいらっしゃる方でも解決できないことがあります。それでも一人ひとりが自分のサイズで、暮らしをワクワクさせるために出来ることは何かしらあるという思いです。

田舎は一人ひとりの興味・得意を活かしやすい場所です。これからも地域の方とお互いに活かし合うことを大切にしつつ、心地よく暮らしていきたいなと思っています。

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