季節の手仕事「夏の麦味噌づくり」

台風が過ぎ、一気に季節が秋になったしまなみ大島のチヂキです。みなさまのお住まいの地域では、台風の被害などありませんでしたでしょうか?

東予地域では、拍子抜けするほどに大きな影響なく過ぎ去っていきましたが、ニュースなどを通し、風や雨の影響には県内でも地域差があるなと改めて感じました。

大島でもここ数年の台風被害の状況を受け、事前の対策などに力を入れたことも、大きな被害を避けられたことに繋がったように思います。公助はもちろん、自助・共助の底力が上がっているように感じます。

こりおり舎の庭には百日紅が綺麗に咲いています。

夏の手仕事、味噌づくり。

さて、台風の前、夏の終わりに移住者仲間たちと麦みそづくりを行いました。

ふっくらと蒸しあげられた麦。

地域おこし協力隊1年目の時、地域の方々のおうちでの味噌づくりのお手伝いに行き、麦みそのつくり方を教えていただきました。北海道育ちの私にとって、麦みそは新鮮な味。大豆オンリーの味噌づくりはしたことがあるものの、麦みそは初体験です。その工程も、味も、自然に即したやさしいもので、とても印象的でした。

しかも、地域の方と味噌づくりって、なんだか地域おこし協力隊っぽいな、なんて思っていたのです。

が!

毎年の仕事として続けられていた味噌づくりも、高齢化が進む地域の方々には重労働(私たちにとってもなかなかハードな工程もありますが)。そのおうちでは、翌年から「味噌は買うことにするわー」となってしまったのです。

残念ながら地元の方と一緒に、という形ではなくなってしまったのですが、同じおたくで味噌づくりを学んだ協力隊の先輩をはじめとした移住者仲間で、味噌づくりをするようになりました。教わった通り、と言っても、麦の蒸し具合や大豆の茹で具合、麹の発酵など、感覚による部分の大きい味噌づくり。教わったこと、やったことをそれぞれの記憶を頼りに、試行錯誤して続けている味噌づくりも、今年で3年目になりました。

麹菌により白くなった麦。部屋中に甘い匂い。このまま食べても甘くておいしい。

固すぎたり、思うように発酵しなかったり、かびてしまったり。そんな失敗を含めての試行錯誤も、手作りならでは。関わった人たちの手からも菌が入り込み、その時限りの味を生み出していきます。

手仕事をつなぐこと。

味噌づくりの行程は、 3日がかりの1日仕事が続きますが、蒸している、茹でている、などの待ち時間もあるので、その間は集まった仲間たちとおしゃべりタイム。持ち寄ったお茶菓子を食べたり、季節の果物を食べたり、かき氷を削ったり(食べてばっかり!笑)。協力隊のときにお邪魔したおうちでも、この時間が楽しかったなぁと思いだしました。集まってコミュニケーションをとりながら、毎日の食事に必要なものを作るというのは、1年に一度の手仕事としてとても素敵な場だなぁと感じました。

地元の人がやめてしまう地域の昔ながらの手仕事を、最初は面白がったり興味本位で取り組んでいたい地域おこし協力隊や移住者が繋いでいくというのも、ひとつの形なのかもしれない、と考えるようになりました。

地域の人にとっては何気なさ過ぎて、見過ごされてしまうもの、無くなっていくものを、外から来たからこそ持つ目で捉え、繋いでいくこと。それは、地域にとっても、地元の人にとっても、移住してきた人、移住してくる人にとっても、意味のあることなのだろうと思います。