大三島盛集落の日常と自治について

 日直えひめ暮らし、なべしまです。

 先日は雨(ところによってはえひめでも雪!)が降りましたね。大三島でも久々にかなりの冷え込みで、片付けかけていたストーブに火を灯しました。一転して、昨日今日と快晴の日より。こうも暖かいと外でみんなでBBQでもしたくなりますが、コロナ禍の現状ではそうもいかず…。もどかしい日が続きます。

 ぼくは大三島の盛(さかり)集落という場所に住んでいます。そこでぼくは、盛集落の自治組織である「総代場」の使丁(こづかい)という役職に就いています。どんな役職なのかをざっくり説明するなら、集落のトップである総代さんの下で、集落のあれやこれやのお世話や、事務仕事なんかを任されているのです。

先日、総代さんから急な連絡がありました。しばらくは行事ごともないのに何事なのかと思えば、

「コロナウイルスの影響が心配だから、ゴールデンウィークの帰省なんかに注意を呼び掛けたい。そのための回覧の案を作ったから、確認してくれ。内容が良いと思ったら、組長に配布して、集落に周知してほしい」

とのことでした。ぼくは、はいわかりました、と当たり前のように返事をしたわけですが、改めて冷静に考えると「これはけっこうすごいことだぞ」と。県や市といった自治体からの要請があったわけでもないのに、総代さんはただ純粋に盛集落のことを思い、影響を懸念し、自分の判断のもとにコロナウイルスへの注意喚起を集落に呼び掛けたわけです。

「自治」という言葉があります。文字通り「自らを治める」。自分たちのことは自分たちで決めて、しっかり治めてまもっていく。これについて語ると長くなるので省きますが、ぼくはこの「自治」こそが地域づくりの本質だと思っています。

 今回のことは、当たり前といえば当たり前かもしれない。それでも、愛に溢れていて、自分たちのこと自分たちでまもろうという「自治」の意識が当たり前のように垣間見えるこの盛集落が、やっぱりぼくはかっこいいなと思いました。たぶん、こんな集落だからこそ、ぼくのようなよそ者も、最初こそ警戒されてただろうけど、ちゃんと受け入れてくれて、時には叱ってくれて、それでも笑顔で過ごす日常を与えてくれたのだな、とも。

集落という自治組織は年々高齢化しています。それでも昔ながらのシステムを維持しようとするために、破綻しかけている、もしくは破綻してしまった、というのも田舎においては珍しくないことでしょう。でも、自治組織を紡いでこその、地域づくり。

ぼくは盛集落の自治のために、これからなにができるんだろうか。たまにそんな真面目なことを考えながら、田舎暮らしを楽しんでいます。

柑橘園地より臨む盛集落