美しい暮らしを次の世代にも繋げていくために。

八幡浜市地域おこし協力隊 藤田 裕子さん

 こんにちは。八幡浜市地域おこし協力隊の藤田裕子です。大学を卒業し、飲食業・宿泊業などに携わったのち、2020年6月に着任しました。

 「みかん農家での就農」+「地域資源を活かした起業」を目指して活動しています。

とりあえず八幡浜が好きだから。

 東京と新潟を行き来する飲食関係の会社で働き、体力的にも精神的にも行き詰まりを感じていた時期に現在の夫と出会い、自然が好きな彼と共に私の実家がある新潟県南魚沼市へ移住をしました。地元は雪深い地域のため、季節に応じた仕事をしている方が多くいらっしゃいます。私たちもその例外でなく、夏と冬の合間の仕事として、夫が八幡浜でみかん収穫のアルバイトをしたことがきっかけとなり、私もこの地を訪れました。

 初めて八幡浜を訪れた際は、温暖な気候、急峻な傾斜地に広がるみかん畑海に浮かぶ養殖いかだなどの美しい景色農家さんの温かさに触れ、これから先どんな人生を過ごしたいのかというイメージがふわ~っと浮かんで、とても心地が良い滞在だったことを覚えています。

 南魚沼に帰ってからも、農業や漁業がある何気ない美しい暮らしや景色・人の温かさが忘れられず、「いつか八幡浜に住んで農業を通して人を呼べたらいいな」と思うようになりました。

 まだ先のことだと思っていた移住でしたが、縁やタイミングがいくつも重なる中で、「八幡浜をたくさんの人に知ってもらい、美しい景色や暮らしを次の世代に残したい」という想いが日増しに強くなり、協力隊に応募したのが経緯です。

 気付けば、初めて訪れた日から2年経たず移住をしていました。

八幡浜の何気ない日常には魅力がたくさん

 担当はミッション型の「観光振興」です。普段は市役所の商工観光課に勤務し、E-BIKEの普及活動イベントの手伝いSNSでの魅力発信等をしています。ミッション型とはいえ窮屈さはなく、自分のアイデアを活かして活動ができています。

 八幡浜市はフェリーが往来し、四国の西の玄関口として多くの人が訪れるまちですが、通過地点とされ、「滞在」する方が少ないのが現状です。

 そのようなことがあり、私が初めて滞在した時に体験した八幡浜の何気ない日常の美しくて心地よい雰囲気を共有したくて、SNSの発信をしています。地域の方によく、「何もないのによく来たね~」と言われますが、何もないからこそ見えてくる魅力があると思います。

 また、みかんの収穫時期には全国各地から多くのアルバイターが集まります。これはとても重要な地域資源だと思っています。地域とみかんアルバイターとの仕事を超えるつながりづくりに向け、収穫以外の時期にも訪れていただくイベント企画等の活動をしています。

 八幡浜に住みたい思いが先にあり、協力隊に応募するまで制度のことを詳しく知らなかった私ですが、八幡浜が好き、という気持ちをカタチにできる充実した毎日を過ごせています。

できることをできるだけ。心地よい暮らしを・・・

 現在、協力隊3年目を迎え、やりたいことはまだまだ山ほどありますが、目標の実現に向け、できることから取り組んでいきたいと思っています。

 残りの任期では、みかんアルバイターの方に収穫時期以外にも八幡浜を訪れてもらえるよう、アルバイター同士をはじめ地域の方とも交流できるカフェイベントの開催を計画しています。アルバイターの方の地域との関係づくりや移住につながってほしいという思いと、何よりも私がアルバイターの方との出会いを楽しみにしています。八幡浜にはおいしい食材がたくさんあるので、より深く地域の良さを知ってもらうきっかけにもなればいいと思っています。  

 そして、最終目標は、みかん農家での就農に加え、地域とみかんアルバイターや観光客とをつなぐコミュニティースペース(カフェ)宿泊施設を運営することです。

 このうち、みかん農家への就農については、退任後、夫と同じ農家で修行をする予定でいます。農業未経験で不安でいっぱいですが(笑)、初めての学びを大切にこれからの経験を楽しみたいと思います。

 移住した時から今も変わらず、まるで旅をしているような暮らしが続いています。これからも八幡浜の何気ない日常の心地よさや美しさの魅力を伝え、肩の力を少し抜いた丁寧な田舎暮らしをしていきたいと思っています。