人生の第二章の始まり ドイツ帰りの夫婦による 地球に良い暮らし

大洲市 地域おこし協力隊 山本有華さん

 柳沢地区は大洲市の北東、矢落川流域にあたり、愛媛県の天然記念物に指定されているゲンジボタルが数多く生息しています。内子町や伊予市双海町に隣接していて、藤縄神楽を奉納するなど昔から住民同士の交流も盛んです。
 山本有華さん大洲市の地域おこし協力隊として2022年に着任し、夫婦で移住。新規就農支援、若手農業者の活動PRや、グリーンツーリズム振興に取り組みつつ、農家民宿や加工場のための外部視察や、農家民宿の拠点の改修を行っています。

華やかな国際経験を経て

 神奈川県出身。幼少期より度々単身でアメリカやドイツで生活をしていた彼女は、大学でドイツ語を学んだ後、航空会社、国際会議事務局、ドイツ・フライブルグにて通訳コーディネーター、都内オーガニック食料品でワインバイヤー、外務省在ドイツ日本大使館勤務という華々しい経歴を持つ。

協力隊になった経緯や大洲を選んだきっかけは?

「人間と地球の健康は密接にかかわり合っており、人間だけの健康だけでなく、他の生物はもちろん、地球全体の健康をも守っていく必要があるという“プラネタリーヘルス”という考え方を知り、そういう生き方の実践者になりたいと思い、地方移住を望むようになりました。四国には海と川と山があり、多品目が栽培可能であることなどに注目をしましたが、大洲を選んだきっかけとしては特に明確なものはなく、偶然でした。新しい分野に踏み出す前の猶予期間が欲しく協力隊制度を選びました。」

 複数の語学を操り、国際機関の下支えをしてきた彼女の経歴に対して、地域の方は一瞬たじろぐこともあります。しかし気さくな振る舞いや、穏やかな夫婦のやり取りは、周囲の人にとても微笑ましく映っています。思っていたより話しやすいと、地域の飲み会にも誘われるそう。

「実は航空会社で働くまで、初対面の人と話すのが苦手だったんです。克服できたのは5年間務めて様々なお客様と会話をしたからです。加えて通訳の仕事は相手の気持ちを読み取るために、しっかりと観察をする力をつけることができました。色々と経験を積んで、30代半ばで移住して良かったと思っています。若い頃と比べて理想ばかりを言わなくなりました。子供の頃から完璧主義だったので、もし移住が20代の自分だったら周辺といざこざを起こしていたと思います。非日常の世界が好きで憧れていた国際機関での仕事も、いざその業界に入るとそれぞれの大変さを知りました。最初はその都度失望していたことが、世の中とはこんなものなのだ、ゆっくり作っていこうと思ったんです。今は日々地球に良いことをしたいです。」

夫婦で準備する民宿と加工場

 住民の方からの紹介で、柳沢の有久保地区に今後の拠点となる家と農地を譲り受けた山本夫婦は、その整備に追われています。家屋の改修工事を行い農家民宿の運営と農産物の加工品製造を予定しています。

日々の生活は充実していますか?

「いまは改修や整備作業に必死ですが、やることがある、やるべきことがあるって幸せだなと思います。協力隊着任当初は何をやっていいかわからず、観光客気分でした。農家民宿をするための物件もすぐには見つからず、このままで良いのかと罪悪感や焦りを感じていましたが、協力隊OGから真面目に活動していれば物件はやってくるから心配しなくて良い、と言われて地道に活動を続けました。着任して半年経った頃に信頼できる方が物件の紹介をしてくださりました。夫が呑気な人でよかったです(笑)。」
 夫の信平さんと出会って18年、いろんなことを一緒に乗り越えてきたからなのでしょうか。お互いに支え合い、二人三脚で歩む姿は自然体でリラックスしています。
 夫婦円満のコツを信平さんに聞くと、「とことん議論すること」(ドイツ式?)だそうです。

地域がこうなったらなというような願い、思いはありますか?

「ありません。こういう地域が良いな、と思える柳沢に移住したので。元々「こういう地域にしたい」という熱い思いを持つ人が多く住む地区ですから、そういった取り組みに移住者らしく関われたら、という思いはあります。」

地球とともに心地よい生き方

これからの活動や任期後にこうありたいと思う姿とは?  

「モニターとして友人を拠点に招いて農家民宿開業後のシミュレーションを行っています。キウイ畑で収穫体験をしたり、火を焚き皆で調理し、作業や食事を共にしました。私たち夫婦が大洲に移住してから、お世話になっている大好きな方たちにも会ってもらったりと、地域の皆さんが友人の滞在を良いものにしてくださりました。数年前よりドイツのHeilpraktiker制度を勉強しており、宿でお客さん向けのメニューとして提供できる形にまで昇華したいと思っています。(※ハイルプラクティカーとは、ドイツ連邦共和国における国家資格で日本では「自然療法士」として紹介されることが多い、補完代替医療分野に限定した医業免許)医療占星術や季節に応じた食事を提供し、都会から来た人にも、地域の人にとっても、この人と話したらなんか元気出たな、と思えるヒーラーのような役割、生活者としては、常に社会に対して疑問を投げかけ、心地よい生き方を提案する提唱者でいたいです。」

大洲市:https://www.city.ozu.ehime.jp/site/iju-teiju/
地域おこし協力隊募集情報:https://www.city.ozu.ehime.jp/soshiki/fukkou/47198.html